今回は、ドラマ『イノセンス 冤罪弁護人』の主題歌、
KingGnuの白日を分析していきたいと思います。
MV再生回数1億7千万以上(2020年3月現在)。
他のポップスにはない、独特の雰囲気を放つこの楽曲。
その秘密にせまっていきましょう。
曲の全体構成
Aメロ→Bメロ→サビ→Aメロ→Bメロ→サビ→間奏→Cメロ→サビ→後奏
冒頭のAメロはボーカルとピアノのみで始まります。
サビではメロディが3オクターブのユニゾンで進行。
これだけの音域差でメロディが進行していくのは、まるで器楽演奏のようです。
そして、ラストサビで転調し、盛り上がりを加速していきます。
コード進行
目立つのは、まずAメロに含まれるマイナーセブンフラットファイブです。
※以下、短縮してフラットファイブと呼びます。

このコードは基本的に不安定な和音で、
有罪なのか潔白なのかわからない、
主人公の不安定な状態を表現していると解釈できます。
そして、このフラットファイブはBメロやサビにも多く使われており、
この曲を特徴づけているコードの一つと言えるでしょう。
さらに、ディミニッシュコードも所々に使用されています。
このコードは2種類の使われ方がされていると解釈できます。
まずは、パッシングディミニッシュとしての使われ方。
これは潤滑剤のように機能しています。

半音ずつ上がる進行で、コードをなめらかにつないでいます。
そして、もう一つがフラットファイブ、ディミニッシュの連続進行です。

不安定なコード同士を連続させるというのはなかなか見たことがないですね。
不協和音の含まれるコードの後はバランスを取るために、協和音のコードを配置したくなります。
この不安定なコードの連続は、
歌詞の意味と一緒に考えると理解できます。
「生まれかわってもなお、今という現実を歩き続けなければいけない」という
絶望感を表していると解釈できます。
リズム
特徴は、Aメロにおけるメロディとバッキングのリズムの違いです。
Aメロではメロディは8分のスウィング、
バッキングは16分のスウィングで進行していきます。
・8分のスウィング

・16分のスウィング

さらに、Bメロ、サビでは、メロディ、バッキング共に、
16分のスウィングにリズムが統合していきます。
けっして交わらなかった両者が、一体となったことで、
聴き手に対してある種の快感を与えてくれます。
そして、この一体感とともに、サビが力強く進行していきます。
まとめ
・サビが3オクターブのユニゾンで進行
・マイナーセブンフラットファイブで不安定な主人公に心情を表現
・パッシングディミニッシュで潤滑剤として使う
・マイナーセブンフラットファイブとディミニッシュの連続進行で絶望感を表現
・メロディ、バッキングのリズム分離からの統合で一体感を演出
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