今回は、パプリカの米津玄師バージョンとFoorinバージョンを
比較する形で曲を分析していきたいと思います。
当初は子供向け番組の曲として、書き下ろされたこの曲。
その後、米津自身がセルフカバーし、話題を集めました。
分析してみると、このパプリカという曲には、
実は壮大なテーマが隠されていました。
それでは、一緒にみていきましょう。
曲の全体構成
イントロ→Aメロ→Bメロ→サビ→Aメロ→Bメロ→サビ→Cメロ→サビ

原曲キーは、それぞれの曲で異なっています。
キーを変えることで雰囲気をガラリと変えているのです。
この手法をリハーモナイズといいます。
全体的な曲の雰囲気としては、米津版は哀愁、
一方、Foorin版では子供向けの曲とういうこともあり、楽しさを感じさせます。
そして、どちらともサビでは転調があります。
メロディ
メロディには、ヨナ抜き音階が使われています。
ヨナ抜き音階とは、読んで字のごとく、
4度と7度の音を抜かした音階のことです。
とても安定感のあるスケールです。
ぺンタトニックスケールとも呼ばれます。
基本的にはどちらとも、このヨナ抜き音階が使われています。
しかし、Aメロを見てみると、
米津版では7度のミが使われているところがあります。

本来は抜くべき、7度の音をあえて使うことで、
不安定感、哀愁を感じさせます。
コード進行
次はコード進行を見ていきます。
まずは、Aメロの一部を聴いてみましょう。
米津版
Foorin版
いかがだったでしょうか?
だいぶ雰囲気が違いますよね。
2曲の雰囲気の違いを大きく決定づけているのは、コード進行の違いです。
大きな違いは2つです。
・コードの割り当て
・不安定/安定なコード
コードの割り当て
両者のコード進行を比較してみましょう。

米津版はコード変化があまりないのに対して、Foorin版はコード変化が多いですよね。
しかし、4小節目は、Foorin版では1小節まるまるA(主和音)で終わっています。
主和音で終わることで、終止感、あるいはどん詰まり感がでます。
これにより、幼稚な印象を聴き手に与えるのです。
不安定/安定なコード
米津版には暗いマイナーコードが比較的に多く使用されています。
また、不安定なセブンスコードやディミニッシュコードもみられます。
一方、Foorin版には三和音の安定したコードが多く使われています。
リズム
パーカッションのリズムにも大きな違いがあります。
それはアクセントです。
米津版では、アクセントが一拍目の表、3拍目の裏にあります。
これにより、リズムは変則的になります。
それに対し、Foorin版では、1拍目、3拍目どちらも表にアクセントがきています。
これにより、リズムはストレートに進行していきます。
考察
ここまで読んでいただけたらわかるように、
このパプリカという曲には、表と裏とか、光と闇というような、
2面性があります。
また、この曲にはさらに壮大なテーマが隠されていました。
それは原爆と平和というテーマです。
米津版のMVには、彼岸花や千羽鶴が多く登場しており、
登場する少女は原爆で亡くなった子であると言われています。
そして、パプリカの花言葉は「君を忘れない」だそうです。
さらに詳しい話は、つぎの記事で紹介されていましたのでご覧ください。

まとめ
・リハーモナイズによって、1つの曲でありながら、表と裏のような全く異なる2面性を持たせている
・ヨナ抜き音階からあえて音を外すことで、米津版では不安定感、哀愁を表現
・コードの割り当て方、安定と不安定なコードで、幼稚さや大人な雰囲気を演出
・リズムアクセントの違いで、変則的かストレートか
・曲のテーマは原爆と平和
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